社員のつぶやき

通算20,000人接客した私の 5秒で相手の心を掴む営業テクニック

相手の心が掴めたらいいのに‥

営業/接客に自信がない‥
お客様が何を考えているか解らない‥
もう上司の機嫌を取るのは疲れた‥

こんな風に思っている営業職の方や
接客業の方、多いですよね。
何よりも“売上”のプレッシャーを抱えながら
仕事をしても楽しくない!
まず大事なのは
相手の心を掴む営業テクニックです。

営業テクニシャン自己紹介

はじめまして。阿部と申します。
元々BtoCにおいて通算2万人を接客し
総額2億円以上を売り上げて参りました。

7月1日の入社を機に
可視化社において学んでいることや
日々の記録、つぶやき等を
つらつらと書いていきたいと思います。
暇つぶし程度に読んで頂けたら幸いです。

まずは自己紹介を兼ねまして、
これまで数々のBtoCセールスを
行ってきた私の過去。

アパレル業界にいた時のお話を
過去の背景を交え、入社3ヶ月で
月間売上150万から4倍の600万円に伸ばし
実際に相手の心を掴んだ営業テクニックを
お伝えしたいと思います。

喜びも束の間の新卒時代

憧れのカリスマを目指して

それは当時、カリスマショップ店員ブームを
巻き起こした
渋谷109が流行中の15年前に遡ります。

大手ブランドに就職

人気のアパレル業界に就職すること自体が
難しいと言われていた中で
私が面接を受けたのはCanCam、JJ、などの
いわゆる赤文字系雑誌に大々的に
取り上げられていた
大手アパレルメーカーでした。

応募総数2,000人中6名の中に
入ることができましたが、喜びも束の間。
配属になったのは、
地方都市の高級百貨店。

単価と客層

ニット1枚2万円、スカート3万円。
客層は30代半ば〜マダムまで。

単価が高いショップであるため
顧客様の中には高収入のキャリアウーマン、
アナウンサーやモデルなども
いらっしゃいました。

人間関係

スタッフは店長、副店長、2年先輩のAさん、
1年先輩のBさん、そして私の5人。

優しい先輩達に囲まれながら、
今日からみんなで頑張ろー!

そんなキラキラした世界を夢見て
意気揚々とその場に踏み込んだ
私への歓迎の言葉は

――「とにかく足だけ引っ張らないで。」――

恐怖の営業目標

呆然と立ち尽くす私に渡されたのは
個人売上台帳でした。
自分に割り与えられた月間売上目標(60万円)
そこから日割で売上の目標計画を立て、
今の目標に対しての達成率、客単価、
客数を毎日手書きで記入する、とのこと。

早速ピンチが訪れる!限られた接客時間

1日の流れは
売り場に立って接客、
交代で顧客に来店を促す電話をし、
イベントのお知らせや
新作のご案内のDMを書く。

一方、新人の私は裏に籠もって在庫整理。
上司が休憩に入る限られた時間のみ、
売り場に立つことが許される。

営業時間は10:00〜20:00
土日は原則5人全員出勤。
平日のシフトは3〜4人。

上司の休憩時間は1時間、
それぞれが交代で休憩に出るため
私が売り場に立てるのは土日は4時間。
平日は2〜3時間。

私が最初に割り与えられた
月間売上目標が60万円なので
単純に日割りで計算すると
1日約3時間以内に
2.4万円売らなくてはいけません。

「売り場でて!急いで!早く!」

これは1人目の上司の休憩の時間の合図。
大量に納品された商品の数を数えていても
水分補給をしたくても
お客様の流れには波があるため、
いつ急に忙しくなるかはわかりません。

トイレに行きたかろうが
お客様には関係のないこと。
とにかく急ぐ!が鉄則なのです。

(あれ、何枚まで数えてたっけ)

そんなことを思いながら
気持ちを切り替え急いで売り場へ向かう。

いざ初接客!1人のマダムとの出会い

年上の接客ができない

「いらっしゃいませ!」
「こちらにお鏡がございます!」
「ご試着もできますよ!」

何を言ってもマダムは

「若くていいわね〜」
と言う。

なんとか提案した商品を眺めながら

「私には若すぎるわ〜
あなたみたいに若い人ならいいけど。」

「そんなことないです!おすすめですよ!」

必死にフォローするも鼻であしらわれ

「あなたが着ればいいじゃない、
そんなにオススメなら。」

こう言い残し颯爽と去っていく。


――年上の接客の仕方がわからない‥

悩みを抱えた私の陰謀

二十歳そこそこの私が
どのようにマダムを接客したら良いのか。

私があと5年歳をとっていたら?
もし30歳だったら?
あのマダムは私の声に
耳を傾けてくれていたかもしれない。

若さを恨みました。
とにかく若さは売り手にとって邪魔になる。

そう思い込み年齢のせいにし、
マダムが来ても
接客をしないようになりました。

自分と同じくらいの見た目の、
若い人を選びながら声をかけ、
自分に知識がなくても

「これ、雑誌に載ったんですよ」
「可愛いですよ」

こう言えばだいたいの若い人は
買ってくれるから。

自分との共通点が多ければ多いほど
仲良くなって、おすすめがしやすい。

服以外にだって色んな話ができる。
自分が接客しやすいお客様だからこそ
親しみを込めた接客ができ
購入に繋げることができる。

間違った接客、あなたもしていませんか?

実力を身に付けたい

1ヶ月が経ち、
初月の個人売上発表の日

私の個人売上は
150万円でした。
達成率は250%。

先輩達に「すごい!」と褒められても、
素直に喜ぶことができませんでした。

ただ現実から逃げ
苦手なお客様を避けた。
お客様を選んだ。

それは

 “売れて当たり前”

のことをしてきただけ。

周りが褒めれば褒める程、
自分のずるい部分が
どんどん明るみに出ていくようで

ただただ後ろめたさと
恥ずかしさだけが残りました。

「本当の実力で勝負したい」

こう思うようになりました。
では一体、どうすれば良いのか。

今の時代のように、
インターネットで簡単に検索できるような
環境ではありません。

相手の立場に立つことを1冊の本が教えてくれた

私は抱えた悩みの答えを探しに
本屋へ行きました。

「説得力」
「極上の接客術」
「好かれる話し方」
「正しい敬語の使い方」
そして「行動心理学」

とにかく参考になりそうな
ありとあらゆる本を読み漁り
ある1冊の本の中から

「相手の立場になってみる」

「言葉のキャッチボール」

この2つのキーワードを見つけました。
まずは身の周りの人を使って実践。

『店長、相談があるのですが、、』

このように普段から相談を持ちかけても
「忙しい!」の一点張りの店長。

『店長、只今お時間よろしいでしょうか?』

いきなり相談を持ちかけるのではなく
いつも忙しそうにしている
店長の立場になり、

言い回しを少し変えた途端、
店長は耳を傾けてくれたのです。

仮に「忙しい!」と断られても
『かしこまりました』と諦めず

『では、お手すきになりましたら
ご報告お願いします。』

と、私に報連相してね、のボールを投げる。

もっともっと売れるセールステクニック

永遠に続く「言葉のキャッチボール」

このボールを投げる事で会話を終わりにしません。

「どうしたの?今、落ち着いたけど」

こんな風に店長から私の投げたボールが帰ってくる。

言葉のキャッチボールには
終わりがありません。
こちらがボールを投げ続ける限り
永遠に続きます。

「相手の立場」になってみる。
そして「言葉のキャッチボール」

この2つを意識した接客を
心掛けてみることにしました。

まず、相手の立場になるには、相手の気持ちに
寄り添わなくては何も始まりません。

何が好きで、何が嫌いなのか。
それを知ろうとすると、

自然にお客様の歩くスピード、仕草、視線に
興味が湧いてきます。

そこからどんな人かを想像すると、
もっと知りたくなる。

自分が知りたい!と思うことは
言葉のキャッチボールをしながら
直接聞けばいいだけ。

会話の中に含まれた
ひとつひとつのフレーズを拾うと、
どんどんお客様の情報を
知ることができる。

求めている商品が
手に取るようにわかる。

「年上の接客の仕方がわからない」

年上だろうが、年下だろうが
そんなことは一切関係なかったのです。

人の第一印象は3秒で決まる!

さて、ここからは
あの時颯爽と去っていった
マダムの心を掴んだ
実際のテクニック。

まずは

“相手の立場“

これを意識したファーストアプローチ。

マダムは

「いらっしゃいませー!」

こんな活気づいたお店は求めていません。

「いらっしゃいませ。」

語尾を止め、品のある店の雰囲気を出す。

それと同時にアイコンタクトで

“私はあなたに気づいています”の視線を送る。

心を掴む営業テクニック

笑顔+動きの有効活用

お客様に気づく→「いらっしゃいませ」
このコンマ何秒かの瞬間に作り笑顔になるスタッフが多いです。

真顔から笑顔に切り替わる瞬間を相手が見たらどう思うでしょうか?

『普段はあんな顔だけど、
仕事だからしかたなく笑ったんだな。』

こう思うはずです。

作り笑顔になる瞬間を
見られないようにするには?

答えはとっても簡単なこと。

普段から笑顔でいれば良いんです。

“感じのいい人”を印象付けるには
他にお客様がいなくても

常に多くのお客様に
見られていることを意識して、
売り場に立っている間は口角を常に上げる。
(人の第一印象は3秒で決まります。)

「いらっしゃいませ。」

するとマダムは私の視線を避けるように
店内の様子を伺いながら、
ゆっくりと足を踏み入れます。

この場合は

(ゆっくり見たいけど接客されたくない。)

この気持ちを察し
まずはこの不安を
取り除くことから始めます。

自分が立ち止まったままではなく、
商品をたたんだり、
店内をぱたぱたと大きく動き、
あえて忙しいふりをしながら

「奥にも新作商品がございますので、
ごゆっくりどうぞ」

(他にもお客さんがいるようだから、
接客されずにゆっくり見れる)

この安心感を言葉と行動で伝えます。

これ、たった5秒でできる
パフォーマンスです。

私はぼけっと立つことをやめ、
とにかく動く癖をつけていました。

常に口角を上げているのと同様、
たとえ暇でもお客様がそこにいなくても

どこかで見ているお客様は必ずいるからです。

獲物がいないと暇そうにし、
獲物が来たら目の色を変えて
すぐに追いかける、

そんなことではすぐに
逃げてられてしまいます。

視野を広く持ち
ここには美味しいエサがあるよと
まずは泳がします。

とにかく動け!あなたは常に見られている!

「相手の立場」
これは来店された目の前のお客様に限らず、
そのフロア全体のお客様にもいえることです。

忙しそうな店、暇そうな店→
売れてる店、売れてない店→
人気の店、人気が無い店。

お客様だったら
どのお店に行きたいか、を考え
「動きのある売り場」を作れば

他店との格差付けができるため

「ここの店は忙しそうだな、
沢山お客さんが入っているなら
売れてるんだろうな、
人気なんだろうな。少し見てみよう」

こう思わせることができるので、
「選ばれる店」
になります。

相手の行動から心を読む

マダムがこちらの様子を伺っているなら、
観察させればいい。

まずはこうして安心感を与え、
あまりジロジロ見ず、
マダムを視野に入れておく。

そして

“奥にも新作商品がございますので“

こんな風に言った理由。

女性はいくつになっても
「新作」や「限定」
という言葉に弱いから。

お店の商品とスタッフの印象さえよければ
店の奥に誘導することは簡単です。

なぜ、店の奥へと誘導するのか。

それは奥までの導線に並ぶ
数々の商品を見せるため。触らせるため。

よっぽど新作が欲しい人ではない限り、
いきなり奥に進む人はいません。

マダムが最初に触れたのは
ラックに掛かる黒色のロングニット。
その次に触れたのは黒色のシャツ。
黒色のカーディガン。

こうしてひとつひとつ、
マダムが触るものを把握する。

マダムの触れたものから
黒色のトップスを探していることに気づく。

その先にあるのは
均等におたたみされたカラフルなニットが
何枚も重なっているガラスの棚。

そっと指先で一番上のニットをめくるマダム。
ニットの順番は白、黄色、オレンジ‥
そして一番下が黒。

黒を取りたいけど、
崩してしまったら申し訳ない、
あるいは一番下の黒を取るのが面倒、

この気持ちをすぐに察し、

『どうぞ、もしよろしければ
広げてご覧ください』

素早く黒色のニットを取り出し、
広げて見せる。

――「あら、ごめんなさいね」

マダムが口を開きました。

いざ、言葉のキャッチボールの開幕!

ここからは相手の立場を意識した
会話の流れをご覧ください。
(【】私・「」マダム)

「あら、ごめんなさいね」

【いえいえ、
とんでもございません。
インナーをお探しですか?】

「そうよ。中に着るものが欲しいの」

【この季節だと中に着るものも悩みますよね。
本日はコートを着ていらっしゃいますが、
普段はどのようなものを
お召しになられますか?】

「普段は薄手のジャケットが多いわ」

【薄手のジャケットが多いんですね。
でしたらあまり中は
分厚くならないもののほうが
動きやすいですよね。】

「そうね、普段着でも仕事でも
着れるものがいいわ」

【そうですよね。
お仕事はデスクワークですか?】

「いいえ、医者よ。」

【お医者様なんですね!
でしたらお仕事中は白衣ですか?】

「そうよ〜」

【白衣だとすると普段は白い服、
お選びになりませんよね?】

「そうそう!そうなのよ。
つい黒にばっかり目が付いて買ってしまうの。
色物も挑戦してみたいけど
この歳になると勇気がなくて。」

【確かにいつも白ばかりだと
飽きちゃいますよね。
でも、もしかしたらお客様、
似たような黒のニットは
お持ちじゃないですか?
今、実は中に黒いインナー、着てますよね?】

「あっ!確かにそうだわ!
あなた透視できるの?すごいわ!アハハハ!」

【やっぱりそうですよね!
もしここで黒を購入されて、
お家に帰って「やっぱり持ってた!」
ってなったら
ガッカリしますよね?】

「そうね〜どうしようかしら?」

【先程、色物に挑戦する勇気が無いと仰っていましたよね、
でしたらこちらのネイビーはいかがでしょう?
黒に近いネイビーなので、
色物でも抵抗なく着られますし、
上に白衣を合わせても違和感ないですよね】

「私が着てもおかしくないかしら?」

【見慣れないお色味だとそう思ってしまいますよね。
黒は強めな雰囲気になりますが
柔らかい雰囲気になりますよね。
どうぞ、こちらにお鏡ございますので】

「あら、案外いいかもしれない。」

【お顔がぱっと明るくなりますよね。
一度ご試着だけいかがですか?
もしよろしければ普段着られているような
ジャケットと似たようなものを
お持ち致します。ジャケットに合わせた
雰囲気だけでも見たいですよね】

「そうね。じゃあ、
ちょっと着てみようかしら」

人生を変えた魔法の“ね“の秘密

”ね”の魔力

お気づきでしょうか?

私の言葉の語尾に潜む「ね」の数。

この語尾を「ね」に変えることで
人は共感意識が芽生え、自然に首を縦に振りうなずきます。

うなずくだけで、

「それは正しいもの」
「良いもの」

と認識し、購買意欲が増すのです。

首を縦に振ればふるほど
その商品、あるいは人に対しての
“好感度”が上がります。

魔力の正体

その根拠は、幼少期にあります。
赤ん坊のとき、母親の母乳を探すときに
頭を上下させ、
飲み終わると頭を左右に振る。

うなずきは「賛成」左右に振るのは「反対」

この人間の性質を上手く利用して、
お客様がうなずくような演出ができれば、
購入に繋げることは簡単なのです。

ちなみにこんな研究結果も出ています。

ヴュルツブルク大学のイェンス・フォスターは、定番商品をコンピュータ画面上で水平方向と垂直方向に移動させる実験を行っている。
商品を目線で追うには、被験者は首を振る(水平方向に動く場合)か、うなずく(垂直方向に動く場合)必要がある。比較のために商品を動かさない場合も調べた結果、うなずいた被験者は(商品は垂直方向の動き)商品に好感を持ち、購入する確率も高かったが、首を振った被験者は(商品は水平方向の動き)商品に対する評価が低く、購入しようとしなかった。(第4章より)

以上のことから、
人間の心理に基づいた方法をふまえ
相手の立場になり、
言葉のキャッチボールをする。

相手の首を縦に振らせる魔法の「ね」。

是非実践してみてくださいね。

相手の心を掴む営業テクで売上4倍!

裏で在庫整理をしていると

「阿部さんがいないなら今日は帰るわ」
「阿部さんに選んでもらいたいんですけど」
「今日阿部さんいます?」

こんなご指名の声が続々と聞こえてくる。

次から次へとマダムの顧客様が増えていき
「マダムキラー」というあだ名が付く始末。

私は入社3ヶ月目で600万売りましたが、
何よりも嬉しかったのは

お客様に感謝されるようになったことです。

「常に笑顔でいること」
「忙しい店の雰囲気づくり」
「相手の立場になった言葉のキャッチボール」
行動心理からの「魔法の“ね”」

これに加えて客単価アップの裏技や、
セット販売のコツについては
リクエストがあればまた
記事にしたいと思います。

15年後

可視化に入社し、
社長にこんなことを聞かれました。

「どんな風に売ってたの?」

「語尾に「ね」をつけてましたw」

「え、なにそれおもしろい!
詳しく聞かせて!」

㈱可視化 「ね」研修の誕生です。

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